グリース阻集器の選定・設置・維持管理・修理・交換ー。
飲食店や厨房施設を運営する上で、どれも避けて通れない重要なテーマです。
本記事では、飲食店の新規出店・厨房設計・店舗改装等に関わる担当者が
知っておくべきポイントを把握できるよう、要点をわかりやすく整理しました。
グリース阻集器を「どんな基準で選べば良い?」「どこに設置すべき?」
「清掃はどこまで必要?」「修理や交換の判断基準は?」
そんな疑問に、この記事1つでまとめてお応えします。

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1.グリース阻集器の「選定基準」|店舗規模・利用人数に合わせた基本の考え方

新店オープンや店舗リニューアルにあわせて設置するグリース阻集器(グリストラップ)は、
どの機種でも良いわけではなく、店舗の排水量(油脂・食品残渣の発生量)に見合った容量を選ぶことが重要です。

容量が小さすぎると、油脂や汚泥がすぐに満杯になってしまい、詰まり・悪臭・逆流トラブルの原因になります。

グリース阻集器の容量選定については、日本阻集器工業会が定める基準に基づき、
次の2つのどちらかを用いて決定する方法が推奨されています。

1-1.①店舗全面積から決める方法

店舗の全面積に応じて必要な処理能力を算出し、その容量に合うグリース阻集器を選ぶ方式です。
店舗の広さ=調理量・排水量の大まかな目安となるため、一般的な飲食店ではこの方法が広く使われています。

1-2.②1日の利用人数(食数)から決める方法

社員食堂や学校・ホテルレストランなど、1日の提供食数が明確な業態では、
利用人数(提供食数)を基準に容量を算出する方法も有効です。

利用人数=排水負荷の指標となるため、こちらの方が実態に合いやすいケースもあります。

1-3.選定は「厨房設計者・設備業者に相談」が最も確実

容量算定には細かな計算が必要になるため、店舗側が完全に自己判断する必要はありません。

以下の情報を事前に用意しておけば、業者側で最適な容量・仕様を選定できます。
・店舗の全面積(厨房を含む)
・想定される1日の利用人数または食数
・店舗業態(焼肉/ラーメン/惣菜/ホテル朝食など)

2.グリース阻集器の「設置基準」|義務・設置場所に関する基礎知識


グリース阻集器(グリストラップ)の設置については、ビル管法をはじめとした法律や自治体で明確な基準や指導が定められています。
ここでは「なぜ設置義務があるのか」「どこに設置すべきか」という基本を整理します。

2-1.グリース阻集器はなぜ“設置義務”があるのか

飲食店の厨房排水には、調理油・油脂・食品残渣が多く含まれています。

これらがそのまま下水に流れると、
・配管の詰まり・逆流
・下水処理場への負荷増大
・河川・海への環境汚染
といった深刻な問題を引き起こします。

こうした影響を防ぐために、法律および多くの自治体では「飲食店や食品関連施設はグリース阻集器を設置すること」と定めています。
自治体への“営業許可申請”の際にも、グリース阻集器の設置は必ずチェック項目の1つとなります。

不備があれば指導が入り、出店計画の修正や許可の保留となる可能性もあるため注意が必要です。

2-2.グリース阻集器の設置場所

グリース阻集器の設置場所は、建物構造や排水ルートによって大きく変わるため、
基本的には厨房設計者や設備業者に決めてもらうのが確実です。
ただ、次のポイントだけ理解しておくと、打ち合わせがスムーズになります。

2-2-1.①よく使われる設置場所(一般的な3つの候補)

・厨房内の床下スペース(地下の収納スペース)
・厨房内の床置きタイプ(上置き式)
・建物外の地中スペース(屋外設置)
まずは、建物として「どの場所に設置スペースが確保できるか」を確認します。

2-2-2.②選定した容量のグリース阻集器が“そこに置けるか”が最優先

容量選定で必要なサイズが決まっても、
・幅・奥行きが足りない
・深さに対して高さが合わない
・搬入経路が確保できない
といった理由で、物理的に設置できないケースは珍しくありません。

そのため、「設置スペースの確認 → 容量選定 → 実寸でフィッティング」という順番で考えるのが基本です。
※ここは必ず専門業者に確認してもらいましょう。

2-2-3.③最終的に最も大事なのは “清掃のしやすさ”

日頃の維持管理のしやすさの面から大切なのが、“清掃しやすい位置に設置すること”です。
以下のようなケースでは、清掃が疎かになってしまう可能性が高くなります。
・厨房機器の下に隠れてフタが開けられない
・サイズが大きい・深いため、転落の危険がある
・屋外設置だが遠すぎて管理が疎かになる

清掃できない=グリース阻集器がやがて機能しなくなるという認識を持ち、
設計段階で必ず「清掃作業をどう行うか」を想定しておく必要があります。

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3.グリース阻集器の「維持管理」|清掃の基本とやってはいけないこと

グリース阻集器は、設置すれば終わりではなく、日々の清掃と適切な維持管理があって初めて機能する設備です。
ここでは、飲食店が最低限押さえておきたいポイントと、やってはいけない行為をまとめます。

3-1.日常清掃の基本|“日常清掃+専門業者” の組み合わせが最適

グリース阻集器は3槽構造となり、
・第1槽→食品残渣をキャッチ・汚泥を沈殿させる
・第2槽→油脂を浮上・分離させる
・第3槽→きれいな排水を下水へ流す
という流れでその役割を果たしています。

日常的な清掃では、第1槽のバスケットに溜まる食品残渣の回収、第2槽で浮上した油脂を取り除く作業が必要となります。
ただし、日常清掃だけでは、槽の深部に沈んだ汚泥や槽壁の油脂のこびりつき、
仕切り板や配管内部の汚れまで完全に取り除くことは困難です。

そのため、
日常清掃(厨房スタッフ)+定期的な徹底清掃(専門業者)
という組み合わせが、もっとも効率的で安全な維持管理方法です。

日常清掃の具体的な手順や頻度については、以下の記事で詳しく解説しています。
グリース阻集器とは|目的・清掃方法・清掃頻度まで飲食店が知るべき基礎知識

3-2.グリース阻集器の維持管理で“やってはいけないこと”


グリース阻集器は、油脂と汚泥を物理的に「分離・ためる」ことで機能する設備です。
ところが、日頃の扱い方を誤ると、せっかくの分離機能が崩れ、逆に排水トラブルを招くことがあります。
特に以下の行為は、「多くの自治体でも強く注意喚起されている“絶対に避けるべきこと”」です。

3-2-1.①グリース分解剤・油脂処理剤の使用

一見「流れが良くなる」「油が減る」ように見える薬剤でも、
実際には油脂を分解するのではなく、乳化させて細かく散らすだけのものが少なくありません。
乳化した油脂は阻集器で止められず、そのまま排水管や下水へ流れ出してしまい、
下流側で固まって詰まりを起こす原因になります。
油脂処理剤で“油が消えたように見える”のは、ただ排水側へ流失しているだけなのです。

3-2-2.②ばっ気装置・撹拌装置などの後付け機器

空気を送り込むタイプの装置や、槽内を攪拌する後付け機器は、
阻集器内の油脂や汚泥をかき混ぜて浮上分離を崩してしまうため厳禁です。

分離されて浮上している油脂や、底に沈んでいる汚泥が舞い上がり、
そのまま配管へ流出し、本来の阻集性能が失われてしまいます。
「かき混ぜる=分離できなくなる」ため、阻集器の仕組みに根本的に合いません。

3-2-3.③高温の水を大量に流すこと

グリース阻集器は、水と油の比重差によって、油が浮上する仕組みとなっています。
グリース阻集器を清掃する一環として、高温の水を大量流してしまうと、
水と油が混ざりやすくなって、排水側にそのまま流れてしまうことがあります。

結果として、油脂が下流で冷えて固まり、数日~数週間後に配管詰まりを引き起こすこともあります。
また、稀ではありますが、FRP構造のグリストラップの場合、高温の水で変形してしまうこともあります。

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4.グリース阻集器の「修理・交換」|故障サイン・よくあるトラブル・対応策

グリース阻集器は金属・樹脂製の“設備”である以上、長年の使用によって劣化や故障が発生します。
とくに飲食店では、油脂・熱・洗剤による負荷が大きく、
定期清掃だけではカバーできない不具合が蓄積することも珍しくありません。
ここでは、代表的な故障サインとトラブル例、修理・交換を検討すべき基準をまとめます。

4-1.修理・点検が必要なサイン

次のような状態が見られた場合、まずは設備業者による点検が必要です。

4-1-1.フタの破損・ゆがみ

金属製のフタは経年で腐食しやすく、ゆがみ・変形・ガタつきが起こりやすい部位です。
放置していると、隙間から臭気が漏れたり、厨房スタッフがつまずいて事故につながる恐れがあります。

4-1-2.内部の仕切り板・バスケットの破損

槽内の仕切り板(第1槽~第3槽を区切る板)が破損すると、
油脂と汚泥の分離が機能しなくなり、阻集性能が著しく低下します。
バスケットの破れや腐食も、食品残渣が素通りする原因となります。

4-1-3.配管接続部からの水漏れ

阻集器本体と前後の排水管の接続部は、もっともトラブルが起きやすい箇所です。
シール材の劣化や衝撃によるズレで水漏れが起こり、放置すると厨房床材の腐食や悪臭の発生につながります。

4-2.よくある故障・トラブルと対応策

飲食店でよく見られる典型的なトラブルについて、原因と対応策をセットで整理します。

4-2-1.悪臭が消えない(清掃しても改善しない)

原因 対応
・内部の破損
・配管接続部からの漏れ
・汚れの取り残し
・槽内部の腐食
専門業者による内部点検を実施し、
仕切り板・バスケット・排水トラップの破損を確認。
構造部品の交換により改善するケースが多い。

4-2-2.排水の流れが極端に悪い

原因 対応
・配管の閉塞
・油脂の固着
・仕切り板の破損
・トラップの詰まり
内部の油脂・汚泥を除去し、
必要に応じて高圧洗浄を実施。
仕切り板やトラップ部品の交換が必要となる場合があります。

※“日常清掃しても改善しない”状態は、ほぼ設備トラブルが疑われます。

4-2-3.槽外へ水が漏れている

原因 対応
・フタの隙間
・配管のゆるみ
・槽本体の腐食・穴あき
軽微な場合は補修で対応可能ですが、
本体に腐食や穴あきがある場合は、
交換対応がほぼ必須となります。

4-3.修理と交換の判断基準

グリース阻集器は、使用環境にもよりますが 概ね10~15年程度が交換目安 とされます。
以下のいずれかに該当する場合は、修理より交換を優先すべきタイミングです。

・槽本体に腐食や穴あきがある
補修しても再発することが多く、衛生面でもリスクが高いため交換が推奨されます。

・内部の仕切り板やバスケットが大きく破損している
基本性能が保てず、油脂の阻集機能が回復しません。

・配管接続部の破損が繰り返される
設置から年数が経つと、接続部の劣化は根本改善が難しくなります。

・サイズ・容量が現状の厨房に合わなくなった
店舗リニューアルやメニュー変更で排水量が増えた場合は、
容量不足が続くため交換が必要です。

5.まとめ|グリース阻集器の最適運用でクリーンな店舗運営へ

グリース阻集器は、飲食店の排水トラブルを防ぐ“要”となる設備です。
適切な容量を選び、点検しやすい場所に設置し、日常清掃と定期メンテナンスを組み合わせることで、
悪臭・詰まり・逆流といった問題の多くを未然に防ぐことができます。

日頃からの適切な管理が、厨房の衛生と営業の安定につながります。
新規出店や改装の際は、設備業者と相談しながら、長く安心して使える環境を整えていきましょう。

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