「湧水槽って何?」「警報が出て困っている…」そんな疑問や不安はありませんか?
本記事では、湧水槽の仕組みや役割、異常が起こる原因、
そして清掃・点検のポイントまでを、やさしく解説します。
日々の設備管理の参考として、ぜひお役立てください。

1.湧水槽とは?仕組みと役割をやさしく解説

1-1.湧水とは?汚水・雑排水との違い

湧水とは、地表に自然と湧き出してくる地下水のことです。
建物の地下階やピット部分は、地盤や地下構造物の隙間を通じて水が浸入するため、浸水が発生しやすい傾向があります。
湧水とよく混同されるのが、汚水や雑排水です。

汚水:トイレからの排水(例:便器・小便器など)
雑排水:台所・洗面・浴室などからの排水(例:シンク・洗濯機など)
湧水:地下から地表へ自然に湧き出る水(例:地下構造物の周辺地盤など)

このように、湧水は施設内部で人為的に使われた水とは異なり、「自然由来の水」であることが特徴です。
しかし、地中の成分や周囲環境によっては汚れ・におい・雑菌などを含んでいることもあり、適切な管理が欠かせません。

1-2.湧水槽の役割|地下に湧く地下水を一時的に貯留する設備

湧水槽は、こうした地表に湧き出た水を一時的にためておくための設備(水槽)です。
自然に浸入してくる水を直接排水管へ流すことはできないため、
まずは湧水槽に貯留し、一定量がたまった段階で排水ポンプにより強制的に排出する仕組みになっています。

主な役割は以下の通りです:
・地下空間(機械室・電気室・エレベーターピットなど)への浸水を防ぐ
・湧水を一時的にためて、排水ポンプで安全に排出する
・地盤や構造物の劣化・腐食を防ぐための保護設備でもある

このように湧水槽は、施設のインフラ安全性を支える「縁の下の力持ち」的な存在です。
ただし、放置すると汚れや堆積物がたまり、満水・流出・ポンプの異常などを招く要因にもなるため、
定期的な点検や清掃が不可欠です。

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2.湧水槽が満水になる原因とは?トラブルを防ぐために知っておきたいこと

湧水槽は、基本的に自動で水位を調整・排水する仕組みになっていますが、
適切な管理がされていないと「満水」「警報」「排水不能」などのトラブルにつながることがあります。
ここでは、まず湧水槽の基本構造と排水の流れを整理し、よくある満水の原因について解説します。

2-1.湧水槽の構造と排水の流れ|フロート・排水装置との連携

湧水槽で一時的に溜められた地下水は、
以下のような構成と流れで排水が行われます。

湧水槽の基本構成(例):
・槽本体(RC構造またはFRPなど)
・フロートスイッチ(水位検知装置)
・湧水ポンプ(水を外部へ排出)
・配管・逆止弁・バルブ類

排水の流れ:
1.湧水が溜まって水位が上昇すると、フロートスイッチが反応。
2.自動的に湧水ポンプが起動して槽内の水を外へ排出。
3.水位が下がると、フロートが元の位置に戻り、ポンプは停止。

このように水位と機器が連動することで、満水にならないよう調整されているのです。

2-2.湧水槽が満水になる主な原因|ポンプ異常・フロート不良・堆積物など


それでも、管理状態によっては湧水槽が満水状態になったり、排水が止まってしまうことがあります。
湧水槽が満水になる原因として、以下のような事象が考えられます。

・ポンプの故障・劣化
モーターの不良、インペラの損傷、電気系統のトラブルなどにより排水できなくなる。
・フロートスイッチの不具合
水位を正しく感知できず、ポンプが作動しない・止まらないなどの誤作動が発生する。
・汚れ・堆積物の蓄積
土砂・砂利・ごみなどが槽底にたまり、フロートやポンプの動作を妨げる。
・吸い込み口・配管のつまり
排水ルートが物理的に詰まり、排水が機能しなくなる。
・電源トラブル・ブレーカー落ち
特に梅雨や台風時などに、漏電や過電流が発生しポンプが停止するケースも。

2-3.湧水槽が、満水状態になるとどうなる?

・水位警報が作動し、管理室に通知が来る
・最悪の場合、湧水があふれて地下機械室・電気室などが冠水する
・清掃や復旧費用が高額になる場合も

などの事象が起こる可能性があり、予防保全としての定期的な点検と清掃は欠かせません。

3.湧水槽の清掃・点検が必要な理由|法令対象外でも定期管理が重要

3-1.定期清掃の必要性|堆積物・バクテリア・臭気のリスク

湧水槽は、汚水槽や雑排水槽と違って、法令による定期清掃・点検の義務はありません。
ただ、湧水は一見きれいな水のように見えても、
実際には土砂・砂利・サビ・バクテリアなどが混じっていることも少なくなく、槽内に堆積していきます。

こうした汚れを放置すると、以下のようなリスクが高まります:

・堆積物がポンプの吸い込みを妨げ、排水不良を引き起こす
・槽内にバクテリアやカビが繁殖し、悪臭や腐食の原因に
・フロートスイッチが正常に作動せず、満水や誤作動の要因になる

汚水槽や雑排水槽のように法令上の清掃義務はなくても、
衛生面・設備の安定稼働・安全性の観点から、湧水槽も定期清掃が強く推奨されます。

3-2.清掃で見つかる不具合|塗装の剥がれ・腐食・機器トラブルの早期発見

湧水槽の清掃は、単に汚れを除去するだけでなく、
槽内の状態を目視で確認できる貴重なタイミングでもあります。

普段は水が溜まっていて確認できない底面や壁面、ポンプまわりの状況を、
清掃作業中に一緒にチェックすることで、不具合や劣化の早期発見が可能です。

清掃時によく見つかる不具合には、以下のようなものがあります:

・塗装の剥がれ・浮き
湧水中の成分による腐食や、経年劣化によって発生します。
・コンクリートのひび割れ・剥離
長年の使用、地盤の動き、物理的衝撃などが原因となります。
・金属部品のサビ・腐食(例:ハシゴ・固定金具など)
湿気・酸化・電蝕などにより腐食が進行します。
・フロートや配管部の動作不良
スライムや堆積物の干渉によって、動作不良が起きることがあります。
・ポンプの吸い込み不良や異音
異物の混入、スラッジ堆積などによって内部トラブルが発生します。

なお、ポンプの異常や交換が必要なケースについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
あわせて、ご一読ください。

4.湧水槽の清掃・点検、業者選びのポイントとは?


湧水槽の清掃や点検は、基本的に専門業者に依頼して行うものです。
とはいえ、どこに頼むかによって、その後の対応や管理のしやすさに大きな差が出ます。
選ぶ際には、次のようなポイントをチェックしておくと安心です。

・湧水槽の対応実績があるか
湧水槽は雑排水槽や汚水槽とは構造や性質が異なるため、専用のノウハウが必要です。
・作業後の報告書がわかりやすく、改善提案もあるか
写真付きで状態を共有してくれる業者であれば、不具合や劣化も把握しやすく、次の対応につなげやすくなります。
・清掃だけでなく、補修やポンプ交換などにも対応できるか
「清掃して終わり」ではなく、必要に応じて防食塗装や設備更新まで一括で任せられる業者だと、トラブル予防にもつながります。

こうした視点で業者を選ぶことで、現場の負担を減らしながら、設備トラブルの予防やコスト最適化にもつなげることが可能です。

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