消毒槽は排水処理の最終工程を担う重要設備であり、わずかな不具合でも放流水の基準値違反や悪臭、腐食など深刻なトラブルにつながります。
本コラムでは、薬注量の適正管理、槽内清掃、pH・残留塩素測定など日常点検のポイントや、専門業者への委託による維持管理のメリットを解説。安全かつ効率的な運用で法令遵守と環境保全を両立する方法を紹介します。
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消毒槽のメンテナンスの重要性
消毒槽は排水処理施設の中でも、見えない不具合が大きなリスクに直結する設備のひとつです。
処理水の消毒は排水処理の最終工程であり、
消毒槽が正常に稼働していないと基準値を満たしていない放流水を垂れ流してしまう危険性があります。
【消毒槽とは?】についてはこちらのコラムをご覧ください。
消毒槽の不具合とは?
消毒槽の場合、わずかな不具合で合っても消毒効果が大きく低下することがあり、最悪の場合行政指導や改善命令につながります。
異常が発生した場合の代表的な例は、
- 薬剤の注入量が適正でない
- 塩素が過剰に残留している
・薬剤の注入過多や流量の変動に対応できず、配管や槽内の腐食などを招く恐れがある - 槽内にスケールやスライム(生物膜)が蓄積している
・汚泥や有機物の蓄積によって発生し、薬剤などの接触率や殺菌効果の低下を招く
・薬液ポンプの目詰まりや設定ミス、動作不良などで微生物を十分に不活化できない
消毒槽は薬剤や紫外線、オゾンといった強いエネルギーを扱う設備であり、金属腐食や樹脂の劣化など、見えない部分の劣化が進みやすいという特徴があります。
日常点検から定期清掃、必要に応じた修繕まで、継続したメンテナンスが欠かせません。
タカヤマでは、排水処理に関わる総合的なメンテナンスサービスを展開。公式ページはこちら
- タカヤマ【排水処理施設・設備】
- メンテナンス&エンジニアリング
主なメンテナンス・清掃の内容
消毒槽の維持管理は、日々の点検と年1〜2回の専門業者による清掃が重要です。
中でも重点的に行うべき項目は、
① 消毒装置の点検・測定
薬剤消毒の消毒槽では、薬注ポンプの状態が消毒性能を左右します。
ポンプの動作、ホース・配管の目詰まり、ノズルの噴霧状態、逆止弁の固着などを確認し、定期的に薬注量が適切か確認を行います。
薬注量不足は殺菌不十分、過多の場合は残留塩素過剰で中和装置へ負荷がかかるため、適正管理が欠かせません。
② 槽内清掃
消毒槽内にスケール・バイオフィルムが付着すると、消毒効率が大きく低下します。
そのため、年1〜2回の頻度で専門業者による槽内清掃を行うことが推奨されます。
高圧洗浄による壁面清掃、沈殿汚泥の吸引、スケール除去など専門的な知識と技術に基づく槽内清掃で、
急激な消毒効率の低下を事前に防ぐことができます。
③ pH・残留塩素濃度の測定
安定した消毒効果を維持するため、水質測定も欠かさず行う必要があります。
特に薬剤消毒では、 塩素の有効性が失われないようpH管理が重要です。また、残留塩素濃度が高すぎる場合は、中和装置や薬注量を見直すなど、運転制御装置の調整も必要となります。
法令違反につながるメンテナンス不備と対策
消毒槽のメンテナンス不備によって発生しやすいトラブルと、代表的な原因、対処方法をご紹介します。
原因:薬注不足、スライム付着
対策:薬注装置の点検・槽内清掃
原因:注入量過多、薬液ラインの漏れ、気化によるロス
対策:ポンプ校正・配管点検・薬液タンクの密閉強化
原因:有機汚泥の沈殿・腐敗
対策:槽清掃・流入負荷の調整・エアレーションの改善
原因:塩素ガスの揮発による金属腐食
対策:FRPライニング補修・耐腐食性素材への交換・換気強化
このような代表的な問題点は、日常点検をきちんと行っていれば早期発見できるケースが多いです。
定期的な管理を徹底することで深刻な事態を招く前にトラブルを解決することができ、長期化や余分なコストの発生を防ぎます。
消毒槽の異常事態、緊急対応の場合はこちら
修繕・改修のポイント
長期間使用された消毒槽は材料の劣化や薬剤による腐食が進み、槽体・配管・支持金具などに損傷が生じることがあります。
特に塩素系薬剤を扱う設備では、鉄やステンレス部の腐食が進行しやすく、FRPやPVC、耐塩素仕様の素材へ交換することで長寿命化が図れます。
また、現在も薬注量の手動制御を行っている場合は、流量計と連動した自動制御や残留塩素計と連動したした制御機器の導入を推奨します。消毒効率の安定化と薬剤使用量の最適化に大きな効果が期待でき、ランニングコストの削減にもつながります。
メンテナンスを専門企業に委託するメリット

消毒槽の維持管理は専門知識と安全管理が求められるため、外部委託する企業も増えています。
専門業者へ委託することで、以下のようなメリットが得られるためおすすめです。
- 安全管理に基づく効率的な清掃作業
- 水質基準に沿った適切な薬注量の設定
- 異常兆候の早期発見によるトラブル未然防止
- 薬剤管理・労務負担の軽減
法令遵守と環境リスクの低減につながり、施設運用の安定化にも寄与します。
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まとめ
消毒槽は、排水処理の最終工程を担う重要な設備であり、その性能は日々の点検と計画的なメンテナンスに支えられています。
薬注量の適正化、槽内清掃、設備の腐食対策など、ひとつひとつの作業が放流水質の安定につながることを十分に意識し、適切な管理を徹底しましょう。
さらに、専門業者の力を活用することで、安全で効率的な維持管理体制を整えることができ、環境保全と法令遵守の両立を実現できます。




