商業施設・工場・オフィスビルなどで欠かせない雑排水槽は、
放置すると、悪臭・逆流・ポンプ故障など、大きなトラブルにつながる設備です。
また、雑排水槽の清掃や点検は、法令や各自治体の基準により、
建物の管理者に求められる重要な管理項目とされています。
本記事では、雑排水槽清掃が必要な理由・法令や義務の考え方・清掃の流れ・点検のポイントを、
施設管理者の方々に向けてわかりやすく解説します。
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1.雑排水槽清掃が必要な理由|法令・義務・点検頻度までまとめて解説
それでは、なぜ雑排水槽の清掃が必要なのか、
その役割や法令上の位置づけ、点検頻度の観点から順を追って見ていきましょう。
1-1.雑排水槽の役割とは?
雑排水槽は、厨房・洗面所・洗濯設備などから流れる雑排水を一時的にため、
「ポンプで下水道へ送り出すための“中継地点”」として機能する設備です。
特に地下階など、自然に排水できない場所では欠かせず、建物全体の排水を安定させる重要な役割を担っています。
雑排水槽の構造・仕組みについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
→雑排水槽とは?役割・仕組み・設置基準をわかりやすく解説【施設管理者向け】
1-2.なぜ雑排水槽の清掃・点検が必要なのか
雑排水槽には、油分・食品残渣・石鹸カス・繊維くずなどの汚れが日々流れ込みます。
これらの汚れが槽内に蓄積すると、次のようなトラブルが発生しやすくなります。
• 悪臭の発生(槽内に溜まった汚れが腐敗する)
• 排水の逆流・溢水(固形物の蓄積による詰まり)
• ポンプの故障・停止(ゴミや油脂で詰まる/フロートスイッチが動かない)
• 衛生リスクの増大(腐敗ガスの滞留、衛生環境の悪化)
雑排水槽は「ためて・くみ上げる」だけの設備で、汚れを分離・処理する機能はありません。
そのため、汚れの蓄積を前提として定期的な清掃・点検を行うことが不可欠です。
また、溜まった汚れを放置すると、壁面の腐食・塗装剝離・ポンプの寿命低下といった“修理レベル”の問題に発展するケースもあります。
1-3.雑排水槽の維持管理は“実質的な義務”?
雑排水槽の清掃は、「建築物衛生法(延床面積 3,000㎡以上の特定建築物が対象)」および
「建築物環境衛生管理基準(厚生労働省告示)」によって、6か月以内ごとに1回の定期清掃が明確に義務づけられています。
また、「数か月に一度の清掃」を指導している自治体も多く、実務上は、半年ごとの清掃が“必須の管理項目”と考える必要があります。
1-4.雑排水槽の清掃・点検の推奨頻度
雑排水槽は汚れが溜まりやすく、放置すると悪臭・逆流・ポンプ故障などのトラブルにつながりやすい設備です。
そのため、清掃とあわせて点検もセットで行うことが理想的です。
■清掃の推奨頻度:6か月に1回(法令で義務)
繰り返しになりますが、「建築物衛生法」および「建築物環境衛生管理基準」により、6か月以内ごとに1回の定期清掃が義務付けられています。
ただし、厨房が多い商業施設など、油脂・汚泥が溜まりやすい建物では、
3〜4か月に1回の清掃が望ましいケースもあります。
■点検の推奨頻度:清掃のタイミングで実施するのが現実的
点検は法的義務ではありませんが、以下の理由から清掃と同じタイミングで点検を行うことがもっとも現実的で効果的です。
• フロートスイッチ(浮き球)が動作しているか
• ポンプに異常音や詰まりがないか
• 油分・汚泥が過度に溜まっていないか
• 通気の不良や悪臭が出ていないか
“清掃のついでの点検”でも、重大トラブルの早期発見に大きく貢献します。
■清掃+点検のセット運用が、最も安全でコスパが良い
半年ごとの清掃にあわせて点検を行うことで、
• 逆流・溢水などの重大事故の防止
• ポンプの故障の早期発見
• 設備寿命の延長
• 突発的な修繕費の削減
• 沈殿物(産業廃棄物)の一貫処理
など、大きな予防効果が期待できます。
1-5.排水管と雑排水槽清掃の同時実施が効果的
多くの商業施設や飲食テナントを含む建物では、
雑排水槽の“手前”にグリストラップ(油脂分離阻集器)が設けられているのが一般的です。
グリストラップは、厨房排水に含まれる
油脂・食品残渣・固形物などを事前に取り除き、
雑排水槽へ流れ込む汚れを減らすための前処理設備です。
それでもグリストラップで捉えきれなかった油や残渣が塊となり、
排水管をつたって、雑排水槽に落ちてしまい、ポンプに絡まって異常が発生してしまうケースが少なからずあります。
そのため、雑排水槽を清掃する際には、前後の排水管の高圧洗浄も同時に行うことがオススメです。
同じバキュームを使用した作業となるため、コスト面でのメリットも得られます。
雑排水槽に異常!?緊急の場合はこちら
2.雑排水槽清掃の手順|プロが行う作業の流れをわかりやすく解説

雑排水槽の清掃は、悪臭や逆流、ポンプ故障を防ぐための欠かせない作業です。
また、作業中は排水を一時的に停止やルートを切り替える必要があるため、事前の計画・調整も非常に重要です。
ここでは、プロが実際に現場で行う代表的な清掃手順を、できるだけわかりやすく紹介します。
2-1.①事前の計画・調整(排水停止・迂回の手配)
雑排水槽の清掃中は、厨房や洗面所からの排水をそのまま流すことができません。
そのため、
• 排水が止まる日程の確認
• 迂回ルートが必要か
• ポンプの停止手順
• 安全確保の養生
などを事前に打ち合わせしたうえで作業を開始します。
清掃自体と同じくらい、この事前調整が重要です。
2-2.②ポンプで槽内の水を排出
まず、槽内の水位を下げるため、排水ポンプを使って可能な範囲まで排水します。
これにより、底部に溜まった汚泥を回収しやすい状態にします。
2-3.③バキューム車で底部の汚泥を吸引
次に、バキューム車を使って、底面にたまった汚泥や油脂の固まりを吸引除去します。
雑排水槽の“におい”や“詰まり”の原因の多くはこの汚泥の蓄積にあるため、この工程が非常に重要です。
2-4.④高圧洗浄機で槽内の壁面・底部を洗浄
水位が下がり汚泥が除去できたら、高圧洗浄機で槽内全体を丁寧に洗浄します。
• 壁面の付着物
• 仕切りや流入部分の油脂
• 底面にこびりついたヘドロ
などを落とし、清潔な状態に整えます。
2-5.⑤ポンプ内部・フロートスイッチの洗浄と動作確認
槽内の清掃が終わったら、次は機器類の洗浄と点検を行います。
• ポンプ内部の洗浄
• 油脂付着がないか
• フロートスイッチ(浮き球)の上下動作
• 逆止弁の作動
これらの確認によって、故障の兆候や部品交換の必要性がわかります。
2-6.⑥水を再投入し、ポンプ・フロートのテスト運転
清掃と点検が一通り終わったら、槽に水を張り、ポンプとフロートスイッチが正常に起動・停止するか確認します。
• ポンプが動くか
• 排水後、正しく停止するか
• 異音や振動はないか
といった基本動作を確かめ、清掃後も安全に使用できる状態に仕上げます。
2-7.⑦仕上げ確認・写真報告書の作成
最後に、槽内の清掃状況・機器点検の結果を確認し、作業前後の写真を添えた報告書を作成します。
施設管理者はこの報告書を見ることで、
• 汚泥の除去状況
• ポンプ・フロートスイッチの状態
• 修繕が必要な箇所(腐食・塗装剥離など)
を一目で把握でき、今後の管理計画にも役立ちます。
3.雑排水槽の清掃後に発見されることが多い修繕ポイント

雑排水槽は、普段は人の目に触れない設備です。
そのため、清掃してみて初めて異常が見つかるケースも少なくありません。
ここでは、実際の現場で清掃後に判明することが多い代表的な修繕ポイントを紹介します。
3-1.壁面の塗装剥離・腐食(コンクリート・FRPの劣化)
雑排水槽の壁面は、長年の油脂や汚水により塗装が剥がれたり、コンクリートが露出したりすることがあります。
放置すると、
• 臭気の発生
• コンクリートの中性化・腐食
• 槽の水密性の低下
につながるため、再塗装(ライニング)や補修が必要になる場合があります。
3-2.ポンプの摩耗・固着・動作不良
清掃時の動作確認で、
• 内部に油脂が固着している
• 異音や振動がある
• 起動・停止が不安定
などの不具合が見つかることがあります。
これらは故障の前兆で、ポンプ交換が必要になるケースもあります。
3-3.フロートスイッチの不良(油脂による固着)
フロートスイッチは、雑排水槽の水位を感知してポンプを自動で作動させる重要部品です。
油脂が固まってフロートが上下しなくなると、
• ポンプが動かず逆流
• ずっと動き続けて焼損
• アラーム発報
などの重大トラブルにつながります。
清掃後に不具合が判明した場合は、交換を検討すべきポイントです。
3-4.逆止弁(チャッキ弁)の固着・閉塞
逆止弁が固着したままだと、排水が逆流して地下フロアに浸水する恐れがあります。
清掃時の点検で異常が見つかれば、早期交換が推奨されます。
3-5.通気管・配管の詰まり
油脂やスカムが通気ラインを塞いでいると、
• 槽内にガスがこもる
• 悪臭が強くなる
• ポンプ負荷が増加する
といった問題が起こります。
清掃とあわせて点検することで、詰まりの早期発見が可能です。
3-6.蓋(マンホール)の劣化・破損
蓋も経年劣化は避けられず、腐食・がたつき・割れなどの劣化が見つかる場合があります
落下事故を防ぐためにも、状態確認と交換の検討が必要です。
3-7.清掃は“現状把握と修繕判断”のチャンスでもある
雑排水槽は、トラブルが表に出るまで気づきにくい設備です。
だからこそ、清掃時の点検で異常を早期に見つけ、必要な修繕を行うことが重要です。
• ポンプ交換
• フロート交換
• 壁面のライニング補修
• 通気・配管の修理
など、設備の安全運転につながる工事もまとめて依頼できます。
4.まとめ|雑排水槽清掃を適切に行い、施設のトラブルを未然に防ごう
繰り返しになりますが、雑排水槽の清掃は、「法令に基づく必須の業務」であり、施設管理において欠かすことはできません。
清掃や点検を怠ると、悪臭・逆流・ポンプ故障など、営業にも影響する重大トラブルにつながります。
施設を安全に運用するためにも、定期的な清掃と計画的なメンテナンスを心がけましょう。
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