近年、グリストラップ清掃の手間を減らす方法として、油脂分解剤や石鹸化が注目されています。
正しく使えばメリットもあり、油がなくなったように見えて清掃作業がスムーズになりますが、実は浄化槽や下水管に負荷をかけてしまい、トラブルを招くリスクもあることを知っていますか?
本記事では、その仕組みや使用上の注意点を解説します。

グリストラップの油脂分解剤や石鹸化とは?

グリストラップは、排水中の油を受け止め、下水や浄化槽に流れ込むのを防ぐ役割を持っています。
油は時間が経つと固まり、悪臭や詰まりなどの原因になるため定期的な清掃が欠かせません。しかし、グリストラップ清掃は大変な作業のため、従業員からは敬遠される業務でもあります。
そんな中、グリストラップの管理や清掃が楽になる「油脂分解剤」や「油脂を石鹸に変える方法(石鹸化)」を導入するケースが増えていますが、これらの使用には十分な知識と注意が必要です。

化学系分解剤

苛性ソーダや界面活性剤を使って油を乳化・溶解させる方法です。
効果が早く油が分解されますが、排水に含まれている成分は変わらないため、水質汚濁につながる恐れがあります。

バイオ系分解剤

微生物や酵素で油を分解する方法です。
環境負荷が低く悪臭防止や油の堆積抑制に役立ちますが、即効性に欠け、あくまでも補助的な役割にとどまります。

油脂の石鹸化

グリストラップ内の油を石鹸に変える方法です。
グリストラップを綺麗に使うことができますが、石鹸が配管やポンプ槽で固まってしまう危険性も持ち合わせています。かえって詰まりの原因になることもあり、使用を禁止している自治体もあります。

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油脂分解剤の使い方には注意が必要

分解剤を使うと「油がなくなったように見える」ため便利に感じますが、実際にはさまざまなリスクも伴っています。例としては、

  • 分解しても成分は変わらず、浄化槽や除害施設に流れ込むため処理の負担が増える

  • 微生物の働きが乱れ、浄化槽が正常に機能しなくなる

  • 油が減ったように見えても、排水基準違反につながるおそれがある

  • そもそもグリストラップは、排水中の油を受け止め、下水や浄化槽に流れ込むのを防ぐ役割を持っています。
    でも、これらは「無くなったように見える」だけで実際には流してしまう性質のもの。表面的にはきれいに見えても、問題の根本解決にはならないことが多いのです。

    【事例】スーパー駐車場でのトラブル

    実際にあった例として、敷地が広く店舗のグリストラップから下水管までの距離が長い環境において、途中にポンプ槽を設けて排水を送っていた大型スーパーの事例を紹介します。
    石鹸化を導入した結果、最初はグリストラップがきれいに使えるようになったと思っていたものの、実はポンプ槽の中で、石鹸成分がいつの間にか固まりとなって堆積。これによりポンプが詰まり、さらにスイッチが作動しなくなったため、駐車場のマンホールから排水が溢れ出てしまう事態に発展しました。
    このように、グリストラップはきれいに見えても施設全体に大きなトラブルを招くリスクがあることは、必ず理解しておく必要があります。

    使い方を誤るとどんな問題が起きるのか

    油脂分解剤や石鹸化を安易に使用すると、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 浄化槽や除害施設のバランス崩壊による余剰汚泥の増加

  • 排水ポンプや配管の詰まり

  • 行政指導のリスク

  • 想定外なメンテナンス費用の発生
  • 短期的には便利に思えても、長期的にはコストがかかってくることも少なくありません。

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    グリストラップ清掃は「基本の徹底」と「アウトソーシング」を優先

    グリストラップの維持管理は、あくまでも基本の清掃を徹底することが重要です。そして、専門業者による清掃を定期的に行うことがおすすめです。
    専門業者はバキュームで汚泥や油を確実に除去し、適切に処理するため、最も安全で確実な清掃方法です。
    分解剤や石鹸化を導入する際は「補助的に取り入れる」という考えを持ち、「定期清掃を疎かにしない」ようにしましょう。

    とくに多数の店舗を抱えるチェーン店の場合、全店一括で清掃を専門業者にアウトソーシングすることで、衛生リスクと突発的なトラブルの可能性を減らすことができます。
    安心・安全な店舗運営を続けるためには、見えないリスクにまで配慮した体制を築くことが大切です。